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鼠径ヘルニアと腰痛:関連性と対処法
2025.04.15
こんにちは。調布駅前そけいヘルニアクリニックの菅間(かんま)です。
鼠径ヘルニアには「ヘルニア」という言葉が付いているため、「椎間板ヘルニア」の腰痛と何かしらの関連性があるのかと疑問を感じている人もいるかと思います。
しかし結論から言うと、鼠径ヘルニアと腰痛に関連性はありません。
今回は鼠径ヘルニアと腰痛の関連性や、それぞれの対処法などを解説します。鼠径ヘルニアと腰痛の違いを理解し、鼠径ヘルニアという病気を正しく理解するためにも、参考にしてください。

鼠径ヘルニアと腰痛に関連性はない
鼠径ヘルニアや椎間板ヘルニアの「ヘルニア」とは、臓器や組織が何かしらの原因で本来の位置からズレることを意味します。
鼠径ヘルニアであれば、腸が腹壁からはみ出す病気である一方で、椎間板ヘルニアは頸椎や胸椎といった箇所で椎間板が筋膜などからはみ出す病気です。
そのため、鼠径ヘルニアに「ヘルニア」が付いているからといって、腰痛に関係するわけではありません。
あわせて「ヘルニアとは?原因から症状、治療法まで医師がわかりやすく解説」の記事もお読みください。
鼠径ヘルニアの具体的な症状
前述した通り、鼠径ヘルニアは脱腸する病気です。
症状としては下腹部周辺に、ピンポン玉ほどのサイズ(個人差はあります)のふくらみが現れます。
また常にふくらみが出ているわけではなく、押したり横になったりすると引っ込むことが特徴的です。
初期の状態では痛みはなく違和感を覚える程度ですが、進行すると肥大化し、痛みが伴うようになります。
あわせて、以下の記事もお読みください。
「鼠径ヘルニア(脱腸)とは」
「鼠径ヘルニア(脱腸)の症状と対策について」
鼠径ヘルニアの対処法
鼠径ヘルニアの対処法は、以下の通りです。
・重たい荷物を運ばないようにする
・長時間立った状態でいることは避ける
・適正体重を維持する
・腸内環境を整える
鼠径ヘルニアは、腹部への日常的な負担や、加齢による筋膜の脆弱化が原因で発症する病気です。
そのため、日常的に重たい荷物を運んだり長時間立った状態でいたりすると、鼠径ヘルニアになりやすいといわれています。
また、適正体重の維持や腸内環境を健康に保つことも効果的な対処法です。
というのも、肥満状態は脂肪によって常に腹圧がかかってしまう状態であり、便秘は排便時に腹圧がかかりやすくなるからです。
そのため、偏食を避け肥満予防やダイエットを心掛けるとともに、ヨーグルト・納豆といった発酵食品を日常の食事に取り入れてみてください。
あわせて「鼠径ヘルニア手術後に便秘するって本当?専門医が解説」の記事もお読みください。
鼠径ヘルニアに関するQ&A
患者さんからよく聞かれる質問に対して回答します。
Q:鼠径ヘルニアを放置するとどうなりますか?
鼠径ヘルニアを放置すると「嵌頓(かんとん)」といって、飛び出した腸が戻らなくなってしまう状態になる可能性があります。
嵌頓を引き起こすと、腸が壊死してしまうケースもあるため注意が必要です。
あわせて「鼠径ヘルニアを放置すると腹腔鏡の日帰り手術を受けられなくなる可能性がある」の記事もお読みください。
Q:鼠径ヘルニアはすぐに治療できますか?
多くの場合、鼠径ヘルニアは日帰り手術で対応できます。そのため、仕事などで長期の休暇が取れない人でも安心して治療できる病気です。
あわせて「鼠径ヘルニアの日帰り手術のメリットとリスクを比較」の記事もお読みください。
この記事の著者

菅間 剛(かんま たけし)
2007年、慶応義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、練馬総合病院、千葉西総合病院、東京医科歯科大学医学部医歯学総合研究科、世田谷北部病院などの麻酔科に勤務し、5000件を超える手術麻酔を担当。2023年、調布駅前そけいヘルニアクリニック開院。
東京都調布市出身で、父も調布市内で「菅間医院」の院長をつとめる。