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そけいヘルニア知恵袋

これからの日本の医療で変わらなければならない事

こんにちは。調布駅前そけいヘルニアクリニックの菅間(かんま)です。

今日は日本の医療について、入院期間や日帰り手術と絡めてお話しさせていただければと思います。

多くの日本人が勘違いしているのですが、日本の医療は全体的に海外の最先端の医療に比べてやや遅れています。それは良くも悪くも国民皆保険制度の影響です。米国FDAなどで認可された薬剤や機械が日本の厚労省で認可されて保険診療で使用できるようになるまでだいたい10年くらいかかります。私も早く認可が下りて保険適用にならないかと待っている麻酔薬がいくつかあります。

私は何も国民皆保険制度を否定的に言うつもりはなく、むしろ素晴らしい制度だと思います。海外で最先端の医療を受けられるのは一部の富裕層であり、日本のように高度な医療を全員が受けられるという国は世界でも珍しく、それが平均寿命を延ばしていると考えます。ただどうしてもこの制度は無駄な医療費を生みやすいという弊害もあります。

その代表例が鼠経ヘルニアなどの低侵襲な手術です。鼠経ヘルニアの日帰り手術が日本で進まない大きな理由は、一番は保険点数上の問題です。鼠経ヘルニアの手術と麻酔の単価は保険も含めると約30万円になります。ですが、入院にて手術を行った場合はDPC(包括医療費支払い制度)で50万円以上です。何一つリスクのない患者さんをムダに1日か2日ベッドで寝かせておくだけで一人あたり20万円ほどのプラスになるので、病院にとっては日帰り手術を行うインセンティブがないのです。

少し余談ですが、米国で胸部外科医をやっている同期とこの話題になった時、日本の入院期間が長すぎるという話を聞きました。肺切除やカテーテルの心臓弁置換は手術翌日、開胸の心臓弁置換は術後2日、心臓の冠動脈バイパスは術後3日でそれぞれ退院するそうです。日本ではどれも2週間くらい入院しますが、全く必要のない術後管理が行われているとの事でした。

ムダな医療は時間も費用も消費します。こういう事が積もり積もって必要な人に医療が届かないような事態が起こらないよう、これからの日本の医療は変わっていかなくてはいけません。こういった医療のムダは、実はコロナ禍でのベッドひっ迫の問題の一端を担っていたのではないかと私は考えております。

低侵襲な手術は病院ではなく日帰り手術クリニックで行い、病院は大きな手術をより増やしてもらえれば皆がよりスムーズに医療を受けられる社会になると思います。必要な人に必要な医療を提供することでこの国の医療をさらに良いものにできるよう、これからも自分にできる事を頑張っていく所存です。

この記事の著者

菅間 剛(かんま たけし)

2007年、慶応義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、練馬総合病院、千葉西総合病院、東京医科歯科大学医学部医歯学総合研究科、世田谷北部病院などの麻酔科に勤務し、5000件を超える手術麻酔を担当。2023年、調布駅前そけいヘルニアクリニック開院。
東京都調布市出身で、父も調布市内で「菅間医院」の院長をつとめる。

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