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鼠径ヘルニアは主に3種類!内鼠径や外鼠径の違いとは

2024.08.29

こんにちは。調布駅前そけいヘルニアクリニックの菅間(かんま)です。

お腹に力を入れた際にお腹にふくらみ、違和感などがあれば、鼠径ヘルニアを発症している可能性があります。

しかし、鼠径ヘルニアといってもさまざまな種類があるため、自身の症状がどの鼠径ヘルニアに該当するのかを知っておくことが大切です。

そこで今回は、内鼠径ヘルニア外鼠径ヘルニアといった鼠径ヘルニアの種類について詳しく解説します。

各鼠径ヘルニアの特徴を確認し、自身がどの鼠径ヘルニアに該当する可能性があるのかたしかめてみてください。

主な鼠径ヘルニアは3種類

主な鼠径ヘルニアは、以下の3種類です。

・内鼠径ヘルニア(直接型)
・外鼠径ヘルニア(間接型)
・大腿ヘルニア

鼠径ヘルニアの種類によって脱腸する場所や発症する年代などが異なります。

内鼠径ヘルニア(直接型)

内鼠径ヘルニア(直接型)とは、内鼠径輪(ないそけいりん)よりも内側で脱腸を引き起こす鼠径ヘルニアのことです。

そもそも内鼠径輪とは、大腿の付け根部分にある鼠径管のお腹側の入口のことを指します。

そしてこの内鼠径輪よりも内側にある鼠径三角という場所から脱腸することを内鼠径ヘルニアといい、下腹辺りにふくらみが出ます。

また内鼠径ヘルニアの発症は、加齢が原因であるケースが多く、中年以降の男性に多くみられる鼠径ヘルニアです。

外鼠径ヘルニア(間接型)

一方で外鼠径ヘルニア(間接型)は、鼠径管の入口である内鼠径輪から脱腸を引き起こす鼠径ヘルニアで、鼠径部のやや外側あたりがふくらみます。

たとえば、筋力の低下などが原因で鼠径管が開いてしまうとそこから脱腸し、外鼠径ヘルニアにつながります。また外鼠径ヘルニアは中高年だけでなく、幼児や成人男性も発症しやすい鼠径ヘルニアです。

大腿ヘルニア

大腿ヘルニアは大腿輪(だいたいりん)から脱腸する鼠径ヘルニアで、太ももの付け根あたりがふくらみます。

大腿輪とは、下肢の血管である大腿動静脈が骨盤の中から外に出る際に通過する箇所のことです。

そして加齢や妊娠、出産といった要因から大腿輪が開き、そこから脱腸します。このことから、大腿ヘルニアは男性よりも女性に多くみられる鼠径ヘルニアです。

種類はほかにも!その他のヘルニア

先ほど紹介した3つの鼠径ヘルニア以外にも、「閉鎖孔ヘルニア(へいさこうヘルニア)」と呼ばれる鼠径ヘルニアもあります。閉鎖孔ヘルニアは、骨盤を構成する恥骨(ちこつ)と坐骨(ざこつ)あたりの腹膜から臓器が出る鼠径ヘルニアのことです。

また、鼠径ヘルニアは「腹壁ヘルニア」というカテゴリーに分類されていて、「腹壁ヘルニア」には鼠径ヘルニア以外にもいくつかのヘルニアが含まれています。

そのため、鼠径ヘルニアとその他ヘルニアの違いも紹介しておきます。

鼠径ヘルニアとは異なるヘルニア例は、次のとおりです。

・臍ヘルニア:臍(へそ)から臓器が出るヘルニアのこと(「出べそ」と呼ばれることも)
・腹壁瘢痕ヘルニア(ふくへきはんこんヘルニア):手術した腹部の筋膜がもろくなり、そこから臓器が出るヘルニアのこと

あわせて「鼠径ヘルニアは何科を受診するのが適切?最適な診療科とよくある勘違い」の記事もお読みください

鼠径ヘルニアに関するQ&A

患者さんから多く聞かれる質問に対して回答します。

Q:リヒター型ヘルニアとは何ですか?

リヒター型ヘルニアとは、筋膜から脱出した腸が締め付けられてしまい、その部分に詰まってしまう鼠径ヘルニアのことです。

鼠径ヘルニアの大小にかかわらず発症する可能性があり、放置していると腸が壊死してしまうリスクをはらむ危険な状態です。

Q:小さい鼠径ヘルニアは放置しても大丈夫?

鼠径ヘルニアは小さい場合でも早期の治療が大切です。なぜなら、小さい鼠径ヘルニアであっても嵌頓のリスクがあるからです。

また、早期の段階で治療をしたほうが手術がスムーズに終わるほか、再発の可能性を下げることにもつながります。

Q:鼠径ヘルニアはやばい病気ですか?

鼠径ヘルニアは、男性の3人に1人が生涯を通じて発症する病気です。そのため、身近な病気だといえるでしょう。

しかし、鼠径ヘルニアの症状を自覚しながらも放置してしまうと、腸管が嵌頓し、壊死するリスクがあります。

鼠径ヘルニアは、適切な治療を行うことで完治する病気です。少しでもお腹に違和感を感じた場合は、専門家に相談してみましょう。

この記事の著者

菅間 剛(かんま たけし)

2007年、慶応義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、練馬総合病院、千葉西総合病院、東京医科歯科大学医学部医歯学総合研究科、世田谷北部病院などの麻酔科に勤務し、5000件を超える手術麻酔を担当。2023年、調布駅前そけいヘルニアクリニック開院。
東京都調布市出身で、父も調布市内で「菅間医院」の院長をつとめる。

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