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鼠径ヘルニアは何科を受診するのが適切?最適な診療科とよくある勘違い

2023.12.23

こんにちは。調布駅前そけいヘルニアクリニックの菅間(かんま)です。

鼠径ヘルニアは、脚の付け根にふくらみができる中高年の男性に多い疾患です。違和感や痛みが出ても放置すると、悪化して緊急手術が必要になる場合もあります。

ただし通常は日常生活にそこまで支障がないために、発症してすぐに治療を受けずに「何科を受診すればいいのだろうか」と迷われている方も少なくありません。

今回は鼠径ヘルニアを発症した方が、どの診療科、どのような医療機関を選ぶのがよいかを解説します。

鼠径ヘルニアは足の付け根(鼠径部)にふくらみができる

鼠径ヘルニアになると、足の付け根にふくらみやしこりが現れます。ふくらみの大きさには個人差があり、ピンポン球ぐらいの大きさから鶏卵のサイズまでさまざまです。

原因は、年齢とともにお腹の中の臓器を守るための壁が弱くなり袋状にふくらんで、腸管などが皮膚の下まで飛び出してくるためです。

手で押し込むと、お腹の中に引っ込んで見えなくなりますが、何度でも飛び出してきます。鼠径部のふくらみという普段はなかなか体験することのない症状に、「何科を受診すればよいのだろう」と迷う方が多いのも仕方のないことかと思います。

鼠径ヘルニアの適切な診療科は消化器外科(外科)

鼠径ヘルニアを専門にあつかう診療科は、外科または消化器外科です。

消化器外科とは、食べた物の消化や吸収、排泄などを担う消化器の病気を手術によって治療する診療科です。(一般社団法人 日本消化器病学会より

消化器には、以下のものが含まれます。

  • ・食道・胃
  • ・十二指腸
  • ・肝臓
  • ・脾臓
  • ・胆道
  • ・膵臓
  • 小腸・大腸
  • ・肛門

昔は、鼠径ヘルニアのことを「脱腸(だっちょう)」と呼んでいたように、腸管の一部が皮膚の下に飛び出してくる病気なので、消化器外科の領域なのです。外科手術によってのみ、治療が可能です。

消化器外科ではなく、外科または一般外科と表示している医療機関も多くあります。これらの医療機関でも、鼠径ヘルニアの受診は可能です。

鼠径ヘルニア専門クリニックでも受診できる

近年は当院のような「鼠径ヘルニアの専門クリニック」も注目されています。

現在は日帰り手術で治療できる疾患も多くあります。しかし、どうしても手術と聞くと、入院を想起し、入院といえば長期間にわたると連想する方もまだまだ多いようです。

鼠径ヘルニアは、日帰り手術で十分に治療できる疾患です。それは手術時間が1時間程度と短く、外科手術の中でも身体にかかる負担が比較的少ないためです。これらは医療機器や麻酔技術の進歩によって、可能になったといえるでしょう。

よくある間違いは泌尿器科

患者さんとお話しをしていると「はじめは泌尿器科にかかったけど、外科を受診するように言われてしまった」とお聞きするケースが少なくありません。

鼠径ヘルニアの症状が現れるのは足の付け根部分です。進行すると少しずつふくらみが大きくなり、男性の陰嚢(いんのう)にまでふくらみが大きくなることがあります。

このように陰部近くに症状が出ることから「普通の病院で見られるのは恥ずかしい。まずは泌尿器科に相談しよう」という心理が働くのかもしれません。女性がはじめに婦人科を選ぶのも、ほぼ同じ理由だと考えられます。

鼠径ヘルニアの治療方法は手術のみのため、何科を受診するか迷ったら外科・消化器外科、さらに鼠径ヘルニアの専門クリニックのいずれかを選択してください。

鼠径ヘルニア専門クリニックで治療するメリット

最近では入院が当たり前ではなく、日帰り手術を受けられる病院も多くあります。日帰り手術のメリットはなんといっても、拘束時間が短くて済むことです。

「仕事が忙しくて休めない」方は、つい治療を後回しにしがちですが、日帰り手術なら最短で手術翌日からお仕事に復帰できます。特に当院でも採用している腹腔鏡を使った手術は、身体にかかる負担や手術後の痛みも他の手術方法と比べて少ないのが特徴です。

そして専門クリニックには、同じ症例が多く集まります。腹腔鏡手術に必要な経験を積んだ外科専門医、痛みをコントロールする麻酔科専門医、手術室専門看護師のチーム医療によって、質の高い医療を提供できるのも専門クリニックの強みであると考えます。

当院では今後も、鼠径ヘルニアに悩む患者さんが相談・受診しやすい環境を整えて、早期受診の大切さをお伝えしていきたいと思います。

Q. 鼠径ヘルニアを発症したら何科を受診すればよいでしょうか?

外科または消化器外科です。さらに鼠径ヘルニアの専門クリニックも増えているので、受診しやすい医療機関を選ぶとよいでしょう。治療方法は手術のみなので、泌尿器科や婦人科は適していません。

Q. 鼠径ヘルニアなのか自分ではわかりません。受診は可能ですか?

鼠径ヘルニアかどうか、自己診断せずに医師の診断を受けてください。医療機関にかかれば、視診・触診のほか、CT検査やエコー検査などで確定診断を受けられます。

一度、早めの受診をおすすめします。

Q. どんな医療機関を受診するのがよいでしょうか?

さまざまな考え方がありますが、鼠径ヘルニアの治療実績が多い医療機関を選ぶのがよいでしょう。大型の病院でも、疾患によってはあまり実績がない場合もあります。規模は小さくても専門的なクリニックは特定の治療を集中的に行っている点が強みです。

この記事の著者

菅間 剛(かんま たけし)

2007年、慶応義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、練馬総合病院、千葉西総合病院、東京医科歯科大学医学部医歯学総合研究科、世田谷北部病院などの麻酔科に勤務し、5000件を超える手術麻酔を担当。2023年、調布駅前そけいヘルニアクリニック開院。
東京都調布市出身で、父も調布市内で「菅間医院」の院長をつとめる。

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