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そけいヘルニア知恵袋

鼠径ヘルニアは自己診断できる?セルフチェックの方法を専門医がアドバイスします

2023.08.19

こんにちは。調布駅前そけいヘルニアクリニックの菅間(かんま)です。

当院に来院される方にお話しを聞くと、

「鼠径部(足の付け根)にしこりやふくらみができたので心配になって」

「症状で検索すると鼠径ヘルニアという病気が出てきたので」

といわれるケースがよくあります。

実際に診察させていただくと、鼠径ヘルニア(脱腸)の診断になる患者さんが多いものの、一目で別の病気とわかるケースも少なくありません。

このように医療機関で診断を受けることは大切ですが、受診前にご自宅でできるセルフチェックの方法をお伝えします。

これって鼠径ヘルニア(脱腸)?自己診断の方法

鼠径ヘルニアの特徴は、足の付け根にしこりができることです。このしこり、またはふくらみを触って観察することで、ある程度はご自身でもチェックできるでしょう。

以下にセルフチェックできる項目を用意したので、当てはまるか調べてみてください。

<鼠径ヘルニア セルフチェック シート>

□ 足(太もも)の付け根にふくらみやしこりがある
□ しこりの大きさはピンポン球くらいか、それよりも大きい
□ しこりを触ると弾力があり、硬さは感じない
□ 手でしこりを押す、または仰向けに寝転がると、しこりが消える
□ おなかのあたりに引っ張られるような違和感・不快感がある

これらの項目に当てはまるようなら、鼠径ヘルニアの可能性があります。

便秘などでお腹が張っているケースや、ヘルニアではなく腫瘍や膿が溜まっている状態を鼠径ヘルニアと勘違いされるケースもあるので、チェックシートを参考にしてください。

チェック項目に該当があれば医療機関を受診する

自己診断で「おかしいな」と思ったら外科や消化器外科の受診をおすすめします。また鼠径ヘルニアの疑いが強いと思ったら鼠径ヘルニア専門クリニックを受診するとよいでしょう。

当院も鼠径ヘルニアの治療専門クリニックです。鼠径ヘルニアの診断、手術ともに専門医が担当します。当院で行う手術は、全身麻酔下での腹腔鏡手術です。キズが小さく痛みも少ない手術方式のため、日帰りで手術を受けていただけます。

なお鼠径ヘルニアの診断のほか、腹腔鏡手術が適用できるか血液検査や心電図検査なども受けていただくため、診察は通常一回の来院のみです。仕事を休みづらい、お忙しい患者さんにとってはメリットと言えるでしょう。

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医師が確定診断するまでの手順

当院の例をもとに、診察から検査を受けるまでの流れをご説明します。

診察・問診

まず来院されたら問診票をご記入いただきます。記載の内容をもとにお話をお聞きし、診察いたします。

この際にあわせて医師が患部の視診・触診を行うのが基本です。

CT検査・エコー検査

鼠径ヘルニアは画像検査によって正確に診断できます。

エコー検査に加えて、X線を使って体の断面を連続撮影するCT検査を行うことで、しこりの正体が確実に診断できるため、当院では原則すべての患者さんに実施しています。

その他の検査

鼠径ヘルニアは手術でしか根本的な治療はできません。そのため鼠径ヘルニアと診断された患者さんには、基本的に手術をおすすめします。全身麻酔による日帰り手術が可能かどうか判断するために血液検査、心電図検査を行います。

「自己診断だけ」ではなく医療機関を受診しましょう

セルフチェックによって、明らかに鼠径ヘルニアでないケースは除外できるはずです。しかし自己診断の結果、鼠径ヘルニアが疑われる場合には、決してそのまま放置せずに医療機関を受診してください。

実は、鼠径ヘルニアの多くは放置されがちです。初期には痛みをともなうケースが少ないことや、患部がデリケートな位置にあることも影響しているのでしょう。ただし、放置していても自然に治癒しません。

時間とともに、しこりやふくらみのサイズが大きくなり、痛みを感じる頃になると、飛び出した腸管が鼠径部ではさまってしまう恐れがあります。絞め付けられた腸管が血流障害を起こす嵌頓(かんとん)と呼ばれる状態になり、緊急手術が必要になるリスクも生じます。

嵌頓を起こす前に鼠径ヘルニアの診断を受けて、手術で治療したほうがよいでしょう。

鼠径ヘルニアの自己診断に関するQ&A

患者さんから多く聞かれる質問に対して回答します。

Q. 鼠径ヘルニアは自己診断できますか?

医療機関を受診して確定診断を受けることは必要ですが、一定レベルでの自己診断は可能です。ポイントは以下の3つです。

  •  ●足の付け根にできたふくらみは、指で押すか、横になると引っ込む
  •  ●ふくらみは、ピンポン球くらいかそれよりも大きい
  •  ●ふくらみには適度な弾力があり、ゴリゴリとした硬さは感じない

Q. 医療機関を受診してから手術までの期間はどのくらい?

医療機関の混雑状況によって異なりますが、通常は受診して診断を受けたら、2週間~1か月程度で手術を受けられます。

当院では、鼠径ヘルニアと診断を受けたその日に手術の予約ができます。くわしくは、受診時にご確認、ご相談ください。

この記事の著者

菅間 剛(かんま たけし)

2007年、慶応義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、練馬総合病院、千葉西総合病院、東京医科歯科大学医学部医歯学総合研究科、世田谷北部病院などの麻酔科に勤務し、5000件を超える手術麻酔を担当。2023年、調布駅前そけいヘルニアクリニック開院。
東京都調布市出身で、父も調布市内で「菅間医院」の院長をつとめる。

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