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鼠径ヘルニアの進行速度には個人差があります。早めの受診が欠かせません

2024.06.01

こんにちは。調布駅前そけいヘルニアクリニックの菅間(かんま)です。

足の付け根のふくらみが現れたら、鼠径ヘルニアの疑いがあります。ただちに痛みが出ることはないので「ある程度なら放置しても大丈夫だろう」と考える方も少なくないようです。

実際に「進行のスピードはどのくらい?」「どれくらいなら放置しても平気?」などと、聞かれることもあります。

鼠径ヘルニアの進行速度は人によって異なる

結論からお話しすると、鼠径ヘルニアの進行速度は個人差が大きく「発症からどのくらいで手術が必要」ということは言えません。一般的に高齢のほうが進行速度は上がると言われており、生活習慣とも関連しています。お腹に力のかかりやすい立ち仕事をする方も進行が速い傾向にあります。

初期の鼠径ヘルニアは、足の付け根のふくらみが気になることはあっても、痛みのない方がほとんどです。そのため、気になる症状があっても医療機関を受診せず、そのまま放置してしまうケースが少なくありません。

ただ放置すれば少しずつでも確実にふくらみは大きくなり、痛みや違和感は強くなっていくことは確かです。

鼠径ヘルニアは、足の付け根の内部に開いた穴から、腸管の一部が皮膚の下まで飛び出す病気で、進行するとともに穴が大きくなります。その結果、違和感が増し、痛みを強く感じるようになります。

圧力がかかると進行は早まる仕組み

鼠径ヘルニアの進行をイメージするために、穴の開いた靴下を思い浮かべてください。繰り返し使用した靴下は生地が薄くなり、やがて指やかかとに穴が開きます。ただ、はじめは穴が小さいため、指が靴下の外へ飛び出すことは少ないかもしれません。

そのまま履き続けたり、穴に指を通したりすると、当然のことながら穴は次第に大きくなります。やがて親指さえ飛び出るくらいの大きさになるでしょう。

穴にかかる力の強さや頻度によって、穴が大きくなる時間に差が生まれるのは想像がつくかと思います。そもそも丈夫な靴下には、簡単に穴が開かないものです。これが進行速度の個人差です。

さらに大切なことは、靴下の穴は広がることはあっても小さくなることはありません。鼠径ヘルニアが自然に治癒しないのは、これと同じなのです。

鼠径ヘルニアを放置すると嵌頓(かんとん)のリスクがある

鼠径ヘルニアの発症後は、嵌頓のリスクを知っておく必要があります。鼠径ヘルニアを放置し続けると、ふくらみのサイズが大きくなり、痛みを伴うようになります。

嵌頓とは、飛び出した腸が穴にはさまって、戻らなくなる状態のこと。腸は穴の出口で締め付けられ、血流が途絶えてやがて壊死してしまいます。

痛みが強くなるだけでなく、ときには生命にも危険が及びかねません。

この嵌頓が起こるか、それはいつかは分からないので、早めの治療を心がけることが何よりも大切です。

なお当院では、LINEによる無料相談を承っています。お気軽にご利用ください。

Q:鼠径ヘルニアは放置するとひどくなりますか?

鼠径ヘルニアを放置すると、少しずつでも確実に進行し、大きくなっていきます。

放置し続けて、嵌頓を起こす可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。

あわせて「鼠径ヘルニアは早期治療が大切!最適な手術のタイミングと入院が必要なケースを解説」の記事も参考にしてください。

Q:鼠径ヘルニアの手術のタイミングは?

鼠径ヘルニアの診断を受けたら、早めに手術を受けて治療したほうがよいでしょう。鼠径ヘルニアは自然治癒することがなく、手術でしか治せません。

ほとんどの鼠径ヘルニアは、日帰り手術で治療できます。ただし治療が遅くなると、嵌頓を起こし緊急手術が必要なケースも考えられます。

Q:鼠径ヘルニアの進行が速い人の特徴は?

一般的に鼠径ヘルニアは、高齢の患者さんは進行が速いと言われています。立ち仕事が長いなど、お腹に力のかかりやすい状態は鼠径ヘルニアの進行を速めるリスクがあります。

以下の記事もあわせて参考にしてください。

鼠径ヘルニアの原因となる生活習慣は?予防につながる方法がある

この記事の著者

菅間 剛(かんま たけし)

2007年、慶応義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、練馬総合病院、千葉西総合病院、東京医科歯科大学医学部医歯学総合研究科、世田谷北部病院などの麻酔科に勤務し、5000件を超える手術麻酔を担当。2023年、調布駅前そけいヘルニアクリニック開院。
東京都調布市出身で、父も調布市内で「菅間医院」の院長をつとめる。

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