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鼠径ヘルニア手術後の温泉・サウナ利用ガイド~リスクと注意点~
2025.10.21
こんにちは。調布駅前そけいヘルニアクリニックの菅間(かんま)です。
「手術後は、いつから湯舟に浸かってもいいのか」
「温泉やサウナは大丈夫なのか」
鼠径ヘルニアの手術後、このように疑問を抱く人も多くいます。特に旅行や温泉好きの人にとっては、気になるポイントでしょう。
そこで今回は、鼠径ヘルニアの手術を終えた人に向けて、入浴できるタイミングや温泉・サウナに入るときの注意点について解説します。

鼠径ヘルニアの手術後48時間経ったら入浴できる
基本的に鼠径ヘルニアの手術後は、48時間(2日間)を過ぎれば入浴できます。それまでは傷口を清潔に保つために、シャワーで体を洗う程度が望ましいです。
また回復スピードには個人差があるため、3日が経過しても赤みや腫れが強い場合は、無理をせず医師の指示を仰ぎましょう。
鼠径ヘルニアの術後の生活については「鼠径ヘルニア手術後の日常生活:仕事・運動・入浴時のポイント」で詳しく解説しています。
温泉やサウナに入る際の注意点
鼠径ヘルニアの手術後に温泉やサウナを楽しむことはできますが、体に負担をかけすぎないように注意が必要です。
術後はまだ回復途中であり、ちょっとした温度差や長湯が傷や体調に影響を及ぼす可能性もあります。
38~40度程度のぬるま湯を選ぶ
傷口が完全にふさがるまでは、38~40度くらいのぬるま湯に浸かるようにしましょう。
というのも、熱いお湯に浸かると血流が良くなって傷口が腫れやすくなったり、痛みを感じやすくなったりするからです。
そのため、ぬるめのお湯で、体への負担を最小限に抑えてください。
長時間の利用は控える
温泉やサウナの長時間の利用は体を温まりすぎてしまうため、体への負担も大きくなります。
特に術後は体力が完全に戻っていないため、疲労が回復を遅らせる原因にもつながります。
最初は5~10分程度を目安とし、様子をみながら少しずつ入浴時間を延ばすようにしましょう。
湯冷めしないようにする
温泉・サウナを利用する際は、入浴後に湯冷めしないようにする意識も大切です。体が冷えてしまうと免疫機能が低下し、回復の妨げになります。
入浴後はすぐにタオルで水分を拭き取り、バスローブや衣服で体温を保ちましょう。
特に冬場は、浴室から出たときの寒暖差で体調を崩しやすいため、暖房などで部屋を温めておくと安心です。
鼠径ヘルニアと入浴に関するQ&A
患者さんからよく聞かれる質問に対して回答します。
Q:温泉などから感染症を引き起こす可能性はありますか?
鼠径ヘルニアの手術は傷口が小さく、感染症を引き起こすリスクは少ないです。しかし、温泉などから感染症を引き起こす可能性はあります。
感染を引き起こした場合は、洗浄や抗菌薬などで治療します。
Q:傷口のテープは入浴時に剝がしても良いですか?
鼠径ヘルニアの術後は、傷口にウイルスが侵入するのを防ぐテープが貼ってあります。剥がすタイミングは入浴時で問題ありません。
透明なテープは手術2日後に剥がし、その下にある肌色のテープは術後2週間程度で剥がすようにしましょう。
この記事の著者

菅間 剛(かんま たけし)
2007年、慶応義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、練馬総合病院、千葉西総合病院、東京医科歯科大学医学部医歯学総合研究科、世田谷北部病院などの麻酔科に勤務し、5000件を超える手術麻酔を担当。2023年、調布駅前そけいヘルニアクリニック開院。
東京都調布市出身で、父も調布市内で「菅間医院」の院長をつとめる。