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鼠径ヘルニアの手術方法比較:腹腔鏡手術と鼠径部切開法手術の違い
2024.12.10
こんにちは。調布駅前そけいヘルニアクリニックの菅間(かんま)です。
鼠径ヘルニアの手術にはいくつかの方法があります。そのため、それぞれの方法を比較し、自分に合った最適な手術方法を知ることが大切です。
そこで今回は、鼠径ヘルニアの手術方法の違いについて解説します。鼠径ヘルニアの手術への理解を深めて、安心して治療を受けるためにも参考にしてください。
方法は大きく分けて2通り!鼠径ヘルニアの手術比較
鼠径ヘルニアの手術方法は、大きく分けると2パターンあります。
・鼠径部切開法手術
・腹腔鏡手術
それぞれの手術の違いを比較しながら確認してみてください。
鼠径部切開法手術
鼠径部切開放手術は、鼠径ヘルニアの膨らんでいる箇所を切開し、脱腸している穴を補強する手術です。ヘルニアの大きさや患者さんの体型などによって切開する範囲は異なりますが、一般的に4cm~6cmほどになります。
腹腔鏡手術
腹腔鏡手術は、内臓が収まっている空間である「腹腔内」に5mm~10mmほどのカメラを入れて、観察しながら「鉗子(かんし)」という刃のないハサミや「電気メス」などを用いて、お腹の中から鼠径ヘルニアを治療する方法です。
腹腔鏡手術の場合、カメラ用の穴1カ所と鉗子用を両手分の2カ所、合計3カ所に小さな穴をあけて手術をおこないます。腹腔鏡手術は切開法手術と比べて傷が目立たず、術後の痛みも少ないことが特徴的です。
あわせて「腹腔鏡手術での鼠径ヘルニア治療をおすすめする理由」の記事もお読みください
TAPP法
TAPP法は腹腔鏡手術の一つの方法で、腹膜のなかにカメラと鉗子を入れて鼠径ヘルニアの穴を腹腔内から閉鎖する方法です。
修復法にも違いがある!メッシュを使用するかしないか
メッシュとは合成材料や生物由来材料で作られた網状のシートで、緩んだ筋膜などを固定したり塞いだりする際に使用されます。そしてこのメッシュを使用して弱くなった腹壁を補強するのです。
なお成人の鼠径ヘルニア手術は、メッシュを使用することがガイドラインで推奨されています。
一方でメッシュを使用しない手術は「組織縫合法」とも呼ばれ、主に小児の先天的な鼠径ヘルニアの手術に対して行われます。小児は成長過程であるため、人工物を体内に入れてもそのうちサイズが合わなくなるためです。
また「嵌頓(かんとん)」などで腸が腐ってしまっている場合も、メッシュは感染の温床になってしまうリスクがあるため使用しません。
鼠径ヘルニアの手術方法に関するQ&A
患者さんからよく聞かれる質問に対して回答します。
Q:TAPP法のメリットは?
TAPP法のメリットは、お腹の中から鼠径ヘルニアの穴を確認できることです。
Q:鼠径ヘルニアの手術は全身麻酔ですか?
鼠径ヘルニアの手術は、基本的に全身麻酔です。そのため、意識を失っている状態で治療が進みます。
あわせて「日帰り手術と入院手術:鼠径ヘルニア治療の新しい選択肢」の記事もお読みください
この記事の著者
菅間 剛(かんま たけし)
2007年、慶応義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、練馬総合病院、千葉西総合病院、東京医科歯科大学医学部医歯学総合研究科、世田谷北部病院などの麻酔科に勤務し、5000件を超える手術麻酔を担当。2023年、調布駅前そけいヘルニアクリニック開院。
東京都調布市出身で、父も調布市内で「菅間医院」の院長をつとめる。