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鼠径ヘルニアと前立腺肥大:50代以降の男性が注意すべきこと
2024.12.03
こんにちは。調布駅前そけいヘルニアクリニックの菅間(かんま)です。
前立腺肥大の発症率は50代以降になると上昇する傾向にあり、50~60歳の有病率は4割ほどといわれています。そのため、50代で前立腺肥大の兆候が現れている人もいるのではないでしょうか。
そして前立腺肥大を発症した場合、合併症として臓器が筋膜の外へ飛び出す「鼠径ヘルニア」という病気を発症するリスクが高まるため注意が必要です。
そこで今回は、前立腺肥大と鼠径ヘルニアの関係性や、鼠径ヘルニアの発症を未然に防ぐために50代以降の男性が注意すべきことについて解説します。
鼠径ヘルニアと前立腺肥大の関係
前立腺肥大とは前立腺が大きくなることで尿道を圧迫する病気のことで、尿が出にくくなるなどの症状があります。一方で鼠径ヘルニアは、日頃から腹圧がかかることで発症率が高まる病気です。
このことから、前立腺肥大によって尿を出す際にお腹に力を入れることが習慣化することで、鼠径ヘルニアの発症率が高まる可能性があると指摘されています。
鼠径ヘルニアは予防できる?50代以降の男性が注意すべきこと
男性の場合、生涯を通じて3人に1人が鼠径ヘルニアを発症するといわれています。特に40代以降になると、加齢による筋膜の弱化から発症リスクが高まるため、日頃から意識した生活を心掛けることが大切です。
そして鼠径ヘルニアの発症リスクを下げるためには、以下のことを意識しましょう。
・腹圧がかかる動作や状況を避ける
・内臓脂肪を減らす
腹圧がかかる動作や状況を避ける
前述したとおり、鼠径ヘルニアは腹圧がかかることで発症しやすくなる病気です。そのため、腹圧がかかる動作や状況を回避することで、発症率を下げられる可能性があります。
腹圧のかかる動作とは、次のような動作です。
☑重たい物を持ち上げるとき
☑カラオケなどで大きな声を出すとき
☑腹筋トレーニングをするとき
あわせて「鼠径ヘルニアと筋トレの関係|腹筋トレーニングで鼠径ヘルニアになる?」の記事もお読みください
内臓脂肪を減らす
内臓脂肪が多いと脂肪による圧迫で常に腹圧がかかった状態になり、鼠径ヘルニアの発症リスクを高めます。
そのため、内臓脂肪が多い人はダイエットなどで内臓脂肪を減らすことが大切です。また運動をする習慣がない人も、食生活などを意識して内臓脂肪が増えないような生活を心掛けましょう。
50代以降の男性における鼠径ヘルニアに関するQ&A
患者さんからよく聞かれる質問に対して回答します。
Q:鼠径ヘルニアは男性機能に影響しますか?
鼠径ヘルニアが男性機能に直接作用することはありません。しかし、鼠径ヘルニアによる痛みや圧迫感などが原因で、性行為に影響を及ぼす可能性はあります。
Q:50代以降で鼠径ヘルニアになりやすい職業はなんですか?
50代以降で鼠径ヘルニアになりやすい職業は、長時間立つような職業や重たい荷物を運ぶ職業です。
たとえば、次のような仕事が挙げられます。
・長時間立つような職業:調理人、店舗スタッフ、警備員
・重たい荷物を運ぶ職業:運送業、引っ越し業、倉庫業
これらの職業は鼠径ヘルニアを発症しやすい傾向にあります。ただし、鼠径ヘルニアを発症したとしても、適切な治療を受けることで仕事に復帰できますので安心してください。
あわせて「鼠径ヘルニアになりやすい人の職業とは?長時間の立ち仕事や重い荷物運びは危険か」の記事もお読みください
この記事の著者
菅間 剛(かんま たけし)
2007年、慶応義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、練馬総合病院、千葉西総合病院、東京医科歯科大学医学部医歯学総合研究科、世田谷北部病院などの麻酔科に勤務し、5000件を超える手術麻酔を担当。2023年、調布駅前そけいヘルニアクリニック開院。
東京都調布市出身で、父も調布市内で「菅間医院」の院長をつとめる。