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女性の鼠径部のしこりは「ヌック管水腫」の可能性があります。
2026.01.09
こんにちは。調布駅前そけいヘルニアクリニックの菅間(かんま)です。
女性の場合、鼠径部にしこりが現れる原因のひとつに「ヌック管水腫(ぬっくかんすいしゅ)」という病気があります。
今回はヌック管水腫の特徴や鼠径ヘルニアとの違いについて、専門家の立場からわかりやすく解説します。

「ヌック管水腫(ぬっくかんすいしゅ)」とは
ヌック管水腫は、女性にみられる病気のひとつで、鼠径部にある「ヌック管」という組織に液体が溜まった状態を指します。
「ヌック管」は胎児期に存在する組織であり、生まれたあとも閉じずに残ってしまうことで、そこに腹水などが流れ込み、袋状にふくらんでしまうのです。
強い痛みを伴うケースは少ないですが、生理周期に合わせて痛みが強くなる場合もあります。
治療の手段としては、手術をして嚢胞(のうほう)を摘出するか、自身で気にならない場合は経過観察となります。
間違われやすい「鼠径ヘルニア」の特徴と違いについて
鼠径部にしこりを感じた場合、ヌック管水腫と同じように疑われる病気として「鼠径ヘルニア」が挙げられます。
見た目は似ていますが、症状や特徴にはいくつかの違いがあるため、ご自身の症状と比較してみてください。
男性が発症するケースが多い
鼠径ヘルニアは男性に多く見られる病気で、特に中高年の男性が発症する傾向にあります。
一方、ヌック管水腫は女性特有の先天的な構造が原因で起こるため、性別による発症傾向に違いがあります。
指で押すと引っ込むことがほとんど
鼠径ヘルニアは脱腸することで、ふくらみとして見えるようになります。このふくらみは指で軽く押すと、お腹の中へ引っ込むことがほとんどです。
一方、ヌック管水腫のしこりは水が溜まっている状態であるため、押しても形が変わりにくく、完全に引っ込むことはありません。
腹圧がかかると出てくる
鼠径ヘルニアは、腹圧がかかったときに症状が出やすい病気です。
たとえば、立ち上がったときや、咳やくしゃみをしたときに、ふくらみが目立つようになります。
ヌック管水腫の場合、腹圧との関係性は薄く、安静時でもしこりが出ている状態が続きます。
あわせて「鼠径ヘルニア(脱腸)の症状と対策について」の記事もお読みください。
女性と鼠径ヘルニアに関するQ&A
患者さんからよく聞かれる質問に対して回答します。
Q:女性の場合、鼠径ヘルニアにはなりませんか?
女性でも鼠径ヘルニアを発症する可能性はあります。
女性の場合、外鼠径ヘルニアが一番多いですが、高齢で痩せ型の女性であれば大腿ヘルニアを発症するケースもあります。
大腿ヘルニアは50歳以上の女性が発症しやすく、大腿部の太い血管などが通っている傍のスペースに腸が飛び出る病気です。
あわせて「鼠径ヘルニアは主に3種類!内鼠径や外鼠径の違いとは」の記事もお読みください。
Q:女性で鼠径部にしこりがある場合は何科に受診すればいいですか?
女性で鼠径部にしこりがある場合、「外科」で診察を受けるケースが多いです。
この記事の著者

菅間 剛(かんま たけし)
2007年、慶応義塾大学医学部卒業。横浜市立市民病院、練馬総合病院、千葉西総合病院、東京医科歯科大学医学部医歯学総合研究科、世田谷北部病院などの麻酔科に勤務し、5000件を超える手術麻酔を担当。2023年、調布駅前そけいヘルニアクリニック開院。
東京都調布市出身で、父も調布市内で「菅間医院」の院長をつとめる。